「絶対負けない」マーティンゲール法（倍賭け戦略）の致命的な欠点！

私が投資の世界で見てきた中で、一番危険な神話と言えば、「絶対に勝てる」という謳い文句の戦略です。映画「全てを賭ける」でも使われたあの有名なマーティンゲール法、私も初心者の頃は心惹かれました。

賭けに負けたら次は倍の金額を賭ける。この単純な戦略が多くの人を魅了します。最初に1ドル賭け、負けたら2ドル、また負けたら4ドル...と続けていけば、いつか必ず勝って元本に最初の賭け金を加えた額を手に入れられるはず。10回連続で負ける確率はたった0.1%だし、これって完璧じゃない？

いや、全然完璧じゃないんだ。

9回連続で負けた後、10回目の賭けには1024ドルも必要になる。最初の賭け金が1万円だったら？そう、約1024万円だ。しかもそんな大金リスクに晒して得られる利益はたった1万円。バカバカしい！さらに悪いことに、どの正規カジノにも賭け上限があるから、いつか必ず限界に突き当たる。

私が経験した取引所でも似たような罠がありました。名前は言えないけど、ある大手取引所でトレーディングしていた時、このマーティンゲール法に似た手法を試してみたんだ。暗号通貨市場の変動性の中で「絶対負けない」戦略を実践しようとした結果、資金の大部分を失いました。

ギャンブルの心理的罠

1. まず「損失嫌悪」の罠に陥る。100円もらって嬉しい気持ちより、200円もらって100円取り返される痛みのほうが大きい。一度負け始めると、取り戻したいという欲望が理性を支配する。

2. 次に「ギャンブラーの誤謬」。コイントスで9回連続表が出たら、10回目も確率は変わらず50%なのに、多くの人は「そろそろ裏が出るはず」と思い込む。この幻想が追加投資を正当化する。

3. そして確率が不平等という事実。カジノや取引所は常に少しだけ有利なルールを設定している。手数料も取られるし、勝つ確率は必ず負ける確率より低い。

4. 最後に資金力の差。あなたが100円持ってて、相手が1000万円持ってたら、コイントスでも長期的には絶対に勝てない。

私はこのツケを払うのに数ヶ月かかった。マーティンゲール法に魅了されて、「次こそ、次こそ」と言い聞かせながら資金を倍々に増やしていったら、あっという間に深みにはまってた。

ギャンブルや投機的トレードが怖いのは、お金だけでなく正常な判断力も奪っていくことだ。最終的に私はただの数字になった利益や損失に麻痺し、感情的になってさらに無謀な取引をした。

マーティンゲール法は「必勝法」なんかじゃない。それは破滅への階段だ。賭けは常に負けるようにできている。ギャンブルには近づくな。特に「必勝法」という甘い誘惑には。