ビットコイン9万ドル「一服」…FRBの「ステルスQE」シグナルに注目

2025-12-09 01:27:26

出典：BlockMedia 原題：[ニューヨークコイン市況/終値] ビットコイン9万ドル「一息」…FRB「ステルスQE」シグナルに注目

12月の連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、米連邦準備制度(Fed・FRB)が国債買い入れを再開し、流動性供給基調に転換する可能性への期待が高まる中、ニューヨークのデジタル資産(仮想資産)市場は限定的な調整の中、様子見ムードが続いた。政策金利引き下げよりも「準量的緩和(stealth QE)」と解釈できる国債買い入れシグナルに市場の関心が集まっている。

8日(現地時間)のコインマーケットキャップによると、全体のデジタル資産時価総額は前日比2.03%増の3兆1,100億ドルを記録した。ビットコイン(BTC)は0.77%下落し、9万700ドル台で推移、時価総額占有率(ドミナンス)も58.7%と小幅に下落した。イーサリアム(ETH)は0.29%下落したが、週間では13.62%上昇し比較的堅調な流れを維持している。

レイヤー1系強気…カルダノ・ビットコインキャッシュ上昇が顕著

時価総額上位アルトコインは銘柄ごとにまちまちの動きとなった。カルダノ(ADA)は0.78%上昇、週間では15.08%急騰し最も高い収益率を記録した。ビットコインキャッシュ(BCH)は週間12.84%、ソラナ(SOL)は7.56%上昇し強気を維持した。一方、トロン(TRX)は1.57%、ハイパーリキッド(HYPE)は1.23%下落した。

ドージコイン(DOGE)は0.7%上昇、バイナンスコイン(BNB)は0.79%下落した。セクター別ではレイヤー1プロジェクト中心の銘柄が市場をけん引した一方、ミームコインや取引所関連トークンは総じてまちまちだった。

FRB流動性政策に注視…「QTは終了、流動性再供給が始まる可能性」

市場は政策金利の引き下げそのものより流動性供給シグナルの有無により注目している。CMEフェドウォッチ(FedWatch)によれば、0.25%ポイントの利下げ確率は87.2%ですでに市場に織り込まれている。むしろ注目されるのは、「準備管理(reserve management)」名目でFRBが短期国債(T-bill)の買い入れに乗り出す可能性だ。

バンク・オブ・アメリカのストラテジスト、マーク・カバナ氏は「パウエル議長が月450億ドル規模の短期国債買い入れを発表する可能性がある」とし、「これは技術的な流動性調整と見えるが、実質的には量的引き締め(QT)終了後の流動性再供給を示すシグナルとなり得る」と分析した。「これは名目上は技術的措置だが、実質的にはステルスQEだ」と付け加えた。

ウェリントン・アルトゥスのマーケットストラテジスト、ジェームズ・ソン氏も「今回のFOMCは単なる利下げ会合ではなく、流動性システムに再び水を注ぐタイミングになる可能性がある」とし、「QTは実質的に終了段階で、FRBは早ければ今週から流動性正常化を始めるだろう」と見通した。

ただし、オンチェーン指標では慎重なムードが見られる。グラスノードによれば、ビットコインは最近9万4,000ドルまで反発したが、現物取引ベースの累積約定差(CVD)と未決済建玉はともに減少した。これは市場が上昇トレンドへの確信よりも警戒感を維持していることを示唆する。オプション市場でも下方リスクに備えたデルタ・スキュー(Options Delta Skew)指標が上昇中で、ETF資金フローは純流出を記録し、リスク資産への選好心理が完全には回復していないことが明らかとなった。