10月のFOMC会合で市場予想通り25ベーシスポイントの利下げが実施されましたが、反対票が示すようにFRB内部の分裂が拡大しています。
米連邦準備制度理事会(FRB)は10月会合で政策金利を25ベーシスポイント引き下げ、市場予想通りの決定となりました。2名の理事が反対票を投じ、Stephen Miran理事はトランプ氏の主張に沿って50ベーシスポイントの利下げを支持、Kansas City連邦準備銀行のThomas Schmid総裁は据え置きを主張しました。声明文は9月から大きな変更はなく、今年の雇用増加は鈍化、失業率は上昇したものの依然として低水準、インフレ率は年初から上昇し高止まりしています。市場を揺るがせたのはパウエル議長による12月利下げへの「タカ派的」姿勢で、記者会見で「12月会合での追加利下げは決定事項ではなく、全く予断を許さない」と発言。9月の利下げは労働市場の弱さが理由でしたが、「今後の論理は異なる」と補足し、会合では理事間の明確な意見の相違があったことも強調しました。
バランスシート面では、FRBは12月1日に量的引き締め(QT)を終了すると発表。米国債の月間50億ドル削減は停止し、償還元本は再投資されます。住宅ローン担保証券(MBS)の月間350億ドル上限は維持されますが、償還元本は米国財務省短期証券(Tビル)へ再投資されます。
今週のマクロ経済指標は、ISM製造業・サービス業PMI、9月貿易収支、ADP雇用統計、10月雇用統計、ミシガン大学消費者信頼感指数などが予定されています。米政府閉鎖が続く中、ISMのPMI、ADPの雇用データ、ミシガン大学の消費者信頼感など民間部門の経済指標に注目が集まります。米国の力強い経済成長と政府政策への懸念という二重の影響が、PMIや主要国経済のパフォーマンスなどのデータでさらに評価される見通しです。(1, 2)

Polymarket: Fed Decision in Decemeber

DXY
ドル指数は10月末に強い上昇トレンドとなり、8月初旬以来の高値である約99.8ドルまで上昇しました。FRBのタカ派的な姿勢が背景となっています。(3)

US 10-Year and 30-Year Bond Yields
米国10年債利回りは先週金曜日に4.10%まで上昇し、FRBの慎重な政策運営と今後のタカ派的姿勢を背景に大きく反発しました。(4)

Gold
金価格は今年の利下げ不透明感から金曜日に1%下落し、約3,995ドル/オンスで着地しました。(5)

BTC Price

ETH Price

ETH/BTC Ratio
BTCは先週3.51%下落、ETHは5.99%下落。Bitcoin ETFは6億0735万ドルの純流出、Ethereum ETFは1億1418万ドルの純流入を記録しました。(6)
BTC Fear & Greed Indexは42まで後退し「恐怖」ゾーンに戻りました。ETH/BTCレシオは8月以降の安定した下落トレンドを継続し、先週さらに2.64%低下して0.0346となっています。

Crypto Total Marketcap

Crypto Total Marketcap Excluding BTC and ETH

Crypto Total Marketcap Excluding Top 10 Dominance
暗号資産全体の時価総額は先週3.92%減少、BTC・ETH除く市場は3.77%減少しました。トップ10トークン除く市場は4.37%下落し、アルトコインのアンダーパフォームが目立ちました。
唯一堅調だったセクターはプライバシー銘柄で、ZEC(Zcash)、ZK(zkSync)、DASH(Dashpay)、MINA(Mina Protocol)が市場全体の下落局面でも顕著な上昇を示しました。

Source: Coinmarketcap and Gate Ventures, as of Nov 3rd 2025
市場全体は弱含みで、トップ30トークンのほとんどが下落し、平均下落率は11.56%となりました。TAO(Bittensor)、LEO(UNUS SED LEO)、ZEC(Zcash)、HBAR(Hedera)のみが価格上昇を記録しています。
TAOは、Deutsche Digital Assetsによる欧州初のTAOステーキングETPローンチを受けて12.5%急騰し、機関投資家の関心を集めました。
ZECは、ZcashおよびZashiウォレットの開発元Electric Coin Co.(ECC)が2025年第4四半期のロードマップを発表し、プロジェクトの開発進捗に対する市場の信頼感が高まり7.2%上昇しました。(9)
Canton Networkは、金融市場間のプライバシー保護型相互運用性を実現する機関向けブロックチェーンです。Goldman Sachs、Capgemini、Microsoftなど主要パートナーと連携し、規制資産のトークン化と決済のための分散型インフラを提供します。
TGE後、CCトークンはOKX、Bybit、Binance Pre-Market、Hyperliquid Futuresに上場され、0.13~0.16ドルで取引されました。
Kite AIは、検証可能なオンチェーンモデルのトレーニングと推論を可能にする分散型AIコンピュート・コーディネーションネットワークです。データ提供者、モデル開発者、コンピュートノード運営者をトークンベースのエコシステムで結び、透明なスマートコントラクトインセンティブを実装しています。
General CatalystやPayPal Venturesなど有力投資家の支援を受け、市場の注目を集めています。Gate、OKX、Bybitなど主要取引所の先物市場で上場後、Kiteは約0.13ドルでデビューし、一時0.20ドルまで上昇、その後0.13ドル付近で安定しています。
Circleは、グローバル金融インフラのオンチェーン接続を目指したエンタープライズ向けLayer 1ブロックチェーン「Arc」のパブリックテストネットをローンチしました。BlackRock、Visa、Apollo、BNY Mellon、Deutsche Bankなど100以上の機関が決済、資本市場、テクノロジー分野で参加。サブセカンド最終性、予測可能なドル建て手数料、ネイティブUSDCガスを特徴とし、ステーブルコイン決済、FX、レンディングのオンチェーン決済統合を目指します。今回のローンチはCircleの12億ドルIPOに続くもので、ブロックチェーンによる機関金融基盤の確立を強調しています。(10)
Ethereum Foundationの開発者は、Hoodi、Holesky、Sepoliaでのテストネット成功を受け、Fusakaアップグレードのメインネット稼働日を12月3日に確定しました。後方互換性を持つハードフォークで、PeerDASによるデータサンプリング強化、ガスリミット5倍(1億5,000万)、blob容量拡張など約12のEIPを導入。スケーリングとバリデータ効率向上にフォーカスし、Pectra以来最大のアップデートとなります。2百万ドルのセキュリティ監査報奨金も事前に実施されています。(11)
トークン化証券のリーダーSecuritizeは、Cantor Fitzgerald主導の12億5,000万ドルSPAC契約でナスダック(SECZ)上場へ。自社株式のトークン化も実施し、資本市場のデジタル化ミッションを強化します。BlackRock、ARK Invest、Morgan Stanleyが支援し、BlackRockのBUIDLファンド(初の10億ドル規模トークン化米国債)を発行。PIPE(4億6900万ドル)はArche、ParaFi、Hanwha、Borderlessが主導し、規制対応オンチェーン金融インフラの拡大を目指します。(12)
Standard Economicsは、SpaceXとXの元従業員が設立したステーブルコイン送金スタートアップで、Paradigm主導、Lightspeedや戦略的エンジェルが参加したシードラウンドで900万ドルを調達しました。Unoアプリでメキシコへの国際送金を無料化し、今後はアルゼンチンやフィリピンにも拡大予定です。銀行口座を持たない層をターゲットに、ステーブルコイン送金の普及を目指します。今回の調達は、規制対応・低コストのデジタルドル決済インフラの主流化加速を示しています。(13)
ZARはパキスタン拠点のフィンテックスタートアップで、Andreessen Horowitz(a16z)主導、Dragonfly Capital、VanEck Ventures、Coinbase Ventures、Endeavor Catalystが参加したラウンドで1,290万ドル調達しました。Sebastian SchollとBrandon Timinskyが創業し、現金を地元店舗や電話キオスク経由でステーブルコインに交換、1億人超の銀行口座未保有パキスタン人をターゲットにしています。調達資金は新興国市場への拡大に活用され、パキスタンは新設の仮想資産規制当局(PVARA)による規制整備を進めています。(14)
Accountableは、担保不足型暗号資産クレジットプロトコルで、Pantera Capital主導、OKX Ventures、Onigiri Capital、KPKが参加したラウンドで750万ドル調達しました。調達資金でチーム拡充と11月中旬のメインネットローンチを目指します。機関向け融資の透明性レイヤーとして、10億ドル超の資産を検証しリアルタイムのソルベンシープルーフを提供。Panteraは「暗号資産クレジットの欠落レイヤー」と評価し、2022年の融資サイクルでの失敗を解決するとしています。(15)
前週の成立ディール数は26件で、Dataセクターが11件(全体の42%)、Infraが9件(35%)、GamefiとDeFiが各3件(12%)でした。

Weekly Venture Deal Summary, Source: Cryptorank and Gate Ventures, as of 03rd Nov 2025
前週に公表された資金調達総額は2億1100万ドルで、8%(7/26件)のディールは調達額非公表。Infraセクターが1億3700万ドルでトップ。主な調達案件はBron(1500万ドル)、ZAR(1290万ドル)です。

Weekly Venture Deal Summary, Source: Cryptorank and Gate Ventures, as of 03rd Nov 2025
10月第5週の週間資金調達額は2億1100万ドルで、前週比31%減少。前年同週比では36%増加しています。
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